自宅でいちご栽培を楽しもう

家庭で栽培したいちごの苗を来年も楽しむ方法を初心者さんに伝授

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家庭で栽培したいちごを来年も楽しむ方法~いちご栽培初心者さんのために~

今年、子供に食べさせたくて!とか自分で栽培してみたくて!といちごの苗を園芸店で購入した家庭は多かったのではないでしょうか。

特に、コロナで自宅での時間が増え、ガーデニングの一環として花だけでなくいちごのような果樹にまで興味が広がった方もいたでしょう。

今年、いちご栽培をしておいしいいちごを堪能すると、きっといちご栽培の魅力に気づかれるはずです。
私もその一人、10年以上前に子供たちと一緒に「自宅でいちご狩り」を楽しみたくていちご栽培を始めたのです。

それからは、すっかりいちごの魅力にとりつかれ、栽培の規模がどんどん広がり、家族から苦情が出るほどになってしまいました(笑)。

いちご栽培初心者さんに向けた栽培レッスン

苗を購入して栽培するステップはこちらで解説済なので、ここではいちごの収穫が終了した後、来年もまたおいしいいちごを楽しむためのハウツーをご紹介したいと思います。
収穫が終わったけど、この苗はどうしたらいいのかな?葉っぱも枯れてきて鑑賞に堪えないし、捨ててもいいのかな?なんか変なつるが出てきたけど、切ったらいいのかな?
いちご栽培初心者さんにとっては、収穫までも???ですが、その後の管理となると未知の領域ですよね。大丈夫です。これを読めば、あなたもきっと「いちご栽培中級者」になれますよ。

ほとんどの人が間違っているいちご収穫後の苗管理

実はほとんどの人がいちごの苗の管理を間違っているのです。イチゴの苗は多年草といって、数年間は生育し続け、いちごを収穫することができます。

ですからそのまま古い苗(株)を管理し続けてもいちご収穫を楽しむことはできます。

でもそれでは、年々株は弱り続け、収穫量もいちごの大きさも小さくなってジリ貧になってしまうのです。ほとんどの初心者さんがこの方法で株を大切にされているかと思います。

実は、これ間違っているのです。

いちごは「ランナー」という蔓のようなものが伸びてきて、そこから新しい苗が誕生していく植物なんです。添付の写真を見てください。こんな感じで「ランナー」という蔓が伸びてきて、根付き、新しい株をふやしてくれるのです。

そして、その新しい株の方が、古い株(親株といいます)よりも元気に育ち、いちごもたくさん収穫できるんですよ。
何よりもうれしいのは、1本の古い株(親株)から何本もこの「ランナー」は出てくるので、株の数を増やすことができるんです。
いちごは、このように、ランナーから翌年の苗を作って更新していく果樹なのです。
いちご苗を園芸店で購入すると1苗が300円前後しますよね。ちょうどスーパーでいちごのパックを買うのと同じぐらいです。私の場合、1つの古株から5~10本の新苗を取ることが出来ていますよ。

じゃあ、いちごの古い苗(親株)はどうしたらいいの?

前述したように、古株でも翌年いちごを収穫することはできます。

でも株が弱っていき収穫量が減っていくのと、病気や病害虫をもったまま翌年を迎えることになり、あまりお勧めはできないのです。

かわいそうですが、いちごを収穫し、ランナーで新苗を取ることが出来たら破棄してしまいましょう。次に子孫を残す新苗を作れているので、植物としても役割を終えてくれているのですから。

いちごのランナーから新苗を作るハウツーレッスン

さて、いちごはランナーから新苗を作って翌年も楽しむもの!ということはお分かりいただけましたね。

では、次にそのランナーから新苗を作る方法を伝授しましょう。

STEP①:いちごの収穫が終わっても水やりをします

いちごの収穫は4月下旬から5月中旬に楽しめますが、それが終わっても手を抜かず水やりをしてください。6月になると、1つの親株から何本もランナーが出てき始めます。

STEP②:出てきたランナーの先の葉っぱ部分を土の上に固定しましょう。

ランナーのこの部分を土に接地させるとそこから根が出てきて株になります。専門用語でこの苗を「太郎苗」といいます。
固定させる方法は、専門家はU字ピンというものを使いますが、一般家庭では例えばクリップをまげて作ることができます。私は、針金でいつも作っていま
す。それで固定させることができます。

ランナーの葉っぱの部分に根が出始めているのが分かりますか?

【ワンポイントアドバイス】
ランナーを根付かせる土の場所ですが、
方法A:スペースが無ければ、親株の埋まっている鉢(プランター)の土部分を使う。
方法B:親株の埋まっている鉢(プランター)の横に何も植えていない土の入った鉢(プランター)を横付けしてそこに誘導していく。
方法C:土を入れたポットにランナーを接地させていく。←これが一般的です。

と言った方法があります。

STEP③:「太郎苗」からさらにランナーが伸びてくるのでその先端の葉っぱ部分をまた土の上に固定しましょう。

ランナーからまたランナーが出てくるなんて不思議ですね。この2番目のランナーのことを「次郎苗」といいます。
長男が太郎苗で、次男が次郎苗なんです。兄弟に例えられているんですね。ちなみに、次郎苗からもランナーが出ることがあり、それを三郎苗というんです(笑)。

STEP④:次郎苗(場合によっては三郎苗)まで根付いたことがわかったら切り離します。

ランナーの蔓部分は、人間でいう「へその緒」の役割を果たしています。親株から栄養や水分をもらって成長しているのです。

7月~8月にかけ、十分に太郎・次郎苗に根が付いて自分で栄養を取れると判断したらいよいよ切り離しです。へその緒を切るわけです。

切り方も決まり事があります。それは、写真のように、親株に近い方の蔓を5cmほど残して切ります。これは、植え付けをする向きを決めるのにとても重要な目印となりますので、必ず守ってください。
※この蔓の残っている方向と真逆の方にいちごが成るため、このランナーの切り残しがある方を鉢やプランターの内側に向けて植えつけます。そうすると、鉢の外側にぶら下がるようにいちごが成ってくれるのです。

【アドバイス】

いちごの栽培書を読むと、この新しくできた苗のうち「太郎苗」は使わずに破棄するように解説されています。それは、親株の持っていた病気やウィルスを引き継いでしまっている可能性が高いからです。次郎苗まで行くとその可能性が低く成るので次郎苗や三郎苗を翌年用に使うよう指導されているのです。

でも、一般家庭ではそれほど気にせずに太郎苗も使ったら良いと思いますよ。いちご農家でも苗不足の時には使うことがありますし、一般家庭なら尚更気にすることはないのです。第一、もとの親株さえも翌年も栽培することが多いぐらいなんですから。

沢山の新苗が出来て、親株も、太郎苗もいらないとなったら破棄したら良いんじゃないでしょうか。

STEP⑤:切り離したランナーをポットに植えつけます。

注)ポットに直接ランナーを接地させた方法でやった場合は不要な作業です。
切り離した古株は、土から掘り返してすぐに育苗ポットに植え替えます。ポットは園芸店で購入できますし、土は市販の培養土で十分です。ポットの大きさは、いつも園芸店で花の苗を購入する際についているポットの大きさで大丈夫です。

普段からガーデニングを楽しまれる方なら、買ってきて植えつけた後に残るポットを保管しためておかれることをお薦めします。
残った親株の処理は、そのまま育て続けるか、破棄するかは家庭での栽培なら人それぞれの好みも関係しますので、ご判断ください。

STEP⑥:夏場は半日陰に置き、乾燥させないようまめに水やりをし新株を育てます。

ちょうど、ランナーを切り離す時期は8月頃と夏真っ盛り。直射日光だと弱りやすく、乾燥もしやすいので半日陰で管理することをお薦めします。とにかく水やりを欠かさないこと。いちご栽培は病気も怖いですが、初心者が苗をダメにしてしまう原因のほとんどが水不足によるものなのです。

【肥料はどうしたらいい?】
もしあなたが市販の培養土をお使いなら、まだこの時期の肥料は不要です。培養土自体に肥料が含まれているためです。ただ、一度使った培養土を利用する場合は、栄養分が前の栽培時に摂られてしまい、栄養分が不足しているので少量の肥料をあげてください。

※いちご専用の市販されている肥料をお勧めします。

STEP⑦:苗が育ってきたらいよいよ定植(植え替え)です。

育苗ポットで苗が育ってきたら、鉢やプランター(庭がある場合は地面に)に定植です。時期的には9月~10月頃が適期かと思います。そのまま育苗ポットで栽培し続けると根が詰まってしまい、十分に成長することができず実もなりにくくなりますので、必ず植え替えは行ってください。植え替えした際には、元肥といって、あらかじめ植えつける土の中に肥料を入れておきましょう。
※元肥の量は、土の量でも変わりますので肥料袋の裏に記載されている説明に従ってください。

ここからの作業は、みなさん既に経験済ですね。翌年の4月にまたおいしいいちごが収穫できるようにしっかりお世話をしてあげてくださいね。

【簡単に植え替え後の作業を記載しておきます】
●11月~2月:この期間は株の休眠期になり、成長が止まります。但し、乾燥してきたらこまめに水やりをしましょう。葉っぱが赤黄色く変色したら引っ張って抜いてください。病害虫が付く原因になります。また、この時期に出来てしまったつぼみは摘み取ってください。無駄なエネルギーを使わせてしまいます。

●3月:株が休眠から覚め、活動期に入ります。葉っぱも展開しはじめ、花芽が出てつぼみが膨らみ始めます。この時期にまた追肥といって肥料をあげてください。私はこの時期に、マルチといって、黒い農業用のビニールを鉢やプランターに敷いて土の保温と実が直接土に触れないよう管理していますが、面倒なので、必ずしもする必要はありません。

【マンションのベランダ栽培の方や都心部にお住いの方に注意】

マンション住まいの方や都心部の方に多いトラブルが、「花が咲いたのにいちごの実がならなかった」という悲しい結末です。
これは花が受粉できていないことが原因です。マンションの高層階は昆虫(みつばち等)が上がってくることができません。おおよそ3階がぎりぎりでしょう。また都心部は庭での栽培だとしても昆虫自体がほとんどいない可能性があります。

そのような環境でいちご栽培しても受粉を手伝ってくれる昆虫がいないため十分な受粉がされないのです。

多少風によって受粉しますが、実が変形して「ひょっとこ」のようないびつな形になってしまったりします。
そんな心配がある家庭では、人口受粉をお勧めします。簡単ですよ。
人口受粉の方法としては、花と花をこすり合わせる。または、耳かきのほわほわの部分を使って、花の雌しべと雄しべをこする。それだけです。

【豆知識】
あれ、いちご狩りで見かけるいちごハウスは、ビニールに覆われていて、昆虫が出入りできないし、風もふかないのにどうして受粉んしているのか不思議ですよね。

それに、いちごハウスは12月ぐらいから実がなり始めるけど、そもそも昆虫がいない季節じゃない?

実は、ビニールハウスでのいちご栽培は、その受粉を助けるためにわざわざミツバチをハウス内に飼っているんです。

ビニールハウス栽培用のミツバチを販売している専門の業者もいるんですよ。冬期でもハウス内は温度も高温になっているので、ミツバチ達も春と同じように飛び回ることが出来るんです。

今度いちご狩りに行かれる機会があったらハウス内を探してみてください。みつばちが飛んでいて、どこかに巣箱が置いてあるはずです。

まとめ

以上が、いちごの栽培2年目の作業のお話でした。この一連の作業を「めんどくさい」感じるか、「自分で苗をふやしていちごを成らすなんて楽しい」と感じるかは皆さん次第です。大変かもしれませんが、手がかかる子ほどかわいいものです。

どうぞ、みなさん、ガーデニングの一つとして楽しんで作業してみてくださいね。

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