いちごの魅力

冬になるいちごの実が甘いのが何故かお答えしましょう

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いちごの旬はいつ頃だと思いますか?

皆さんはいつと思いますか?もしかしたら、5月と答える方が多いかもしれませんね。それもあながち間違いではないのですが・・・・・

答えは2月前後の冬季なんです。

暦の上では、すでに春なのでしょうが、まだまだ雪の降る季節が旬なんですね。

ついつい、果物の多くが夏の暑い盛りにサンサンと夏の太陽を浴びて、甘く熟して美味しい実を成らせるイメージが強すぎて、

えっ、冬の季節なのに旬なの?それって美味しいの?って叫んじゃいますよね。

本当なんです、だって、皆さんだってお店でいちごを買うのはクリスマスの12月だったり、お正月やひな祭りなど寒い時期の特別な日ではありませんか?

そして4月以降に買ういちごは、なんかちょっと鮮度が落ちているような色合いで表面の張りもないように感じませんか?

そして7月以降の夏場になると、ほとんどいちごをお店で見かけることはないですよね。

実は寒い時期にゆっくりと実をつける植物はとても甘いのです。

冬になると凍結することがありますよね。植物は凍結すると枯れてしまうので、凍結しないように自ら防衛本能で、自分の体内に糖分を溜めていくんです。

糖分が高いと、氷点が下がるんですよ。周りが凍り始めても糖分をしっかり貯め込んだ実や茎は凍りにくく、生き残ることができるわけです。

例えば、砂糖水と普通の水を冷凍庫に入れてみてください。普通の水は凍るのに、砂糖水はすぐには氷結しません。

いちごも同じで、冬の時期は糖分を溜め込みながら、ゆっくりと成長していくのであんなに甘いんですね。

他の野菜も、例えばほうれん草や白菜、冬場にできる野菜は全てこの理由から実であれ葉ものであれ甘くて美味しいのです。

いちごは秋以降からビニールハウスで栽培されますが、多くのハウスではボイラーなどで加温せずに自然の太陽の光による熱だけで日中は暖かい室内を作ります。

そして夜は普通に冷え込むのですが、それでも加温はしません。そにれにより、ゆっくりと成長し甘い実になってくれるんです。

トマトも冬にできる実が一番美味しいんです。

トマトは今や年中食べられる野菜になりました。ビニールハウスでの栽培はそれを可能にしてくれています。その一年中栽培されているトマトも、トマト特有の美容に良い栄養成分リコピンも豊富で、甘く美味しいのは冬の1月〜3月頃だと言われています。

実際、私は1月の下旬の京都で、「冬のトマト狩り」というイベントに参加しましたが、なんと猛吹雪の中でビニールハウスに入り、トマト収穫をさせていただきました。そのトマトは本当に美味しかったですよ。

それは、先にいちごで説明した理由もありますが、それ以外にも、浸透圧の問題もあるそうです。

(あっ、少しだけトマトの話で話題ずれます・・・ごめんなさい)

トマトは過酷な栽培環境であればあるほど、実に水を吸い上げようと頑張り
自ら糖度を高くして浸透圧を高めます。
すると水の性質上、浸透圧の高い方へ水は流れてトマトは生き延びることができるそうなのです。

実際、トマトの原産地はペルーやアンデス山脈付近の高地だというのわ割と知られている情報ですが、
生まれ故郷の気候は雨も少なく、乾燥しています。しかも高地なので寒暖差が激しく、夜は冷え込むんですよね。

フルーツトマトってありますよね。甘くて果物のようなトマトです。あれは、実は特別な肥料や品種改良したものではなく、実は育て方を過酷にしたものなのです。

ある程度トマトができると水やりをやめてしまい土を乾燥状態にするんですね。するとトマトは大きくはなりませんが、自分に糖度を溜め込むようになる。それで粒は小さいけどとても甘くなるんです。

冬のトマトが美味しいもう一つの理由

実は夏場のトマトの熟したような赤みは嘘の熟したトマトなのです。夏場のトマトは収穫して店頭に並ぶまでに追熟してしまいます。ですから農家さんは追熟の期間も考えて、畑でまだ完熟していないまだ青みが残っているトマトを収穫して出荷するんです。畑で完熟しているトマトを出荷すると運搬途中の追熟で、店頭に並ぶ頃にはブヨブヨのトマトになってしまいます。

完熟していない状態で収穫されたトマト・・・・美味しいと思いますか?味が本来の完熟の美味しさではなくても、みんなは喜んで食べているんです。

では冬のトマトはどうなのでしょう。

冬のトマトは外気温も低いため、収穫してからお店に並ぶまで追熟がしにくいそうです。ですから収穫の段階で完熟している状態のトマトを収穫しても問題ないのですね。すると、店頭で買うトマトは本当の完熟トマトな訳ですから美味しいはずです。

野菜や果物には2つの旬がある

えっ、夏に食べるトマトの方が美味しいよ〜。という方も多いと思います。私も実はその一人なのですが、じゃあ、なんでトマトは冬が旬なんて書くの!と思われますよね。

実は野菜や果物の旬というのは2つあるって知っていましたか?

それは、「本当に栄養的に美味しい旬」「たくさん収穫できる旬」です。野菜ソムリエの私がいうのですから本当です。

トマトは夏場に沢山なりますから夏が収穫の旬です。みずみずしいトマトをキンキンに冷やして塩で食べると本当に美味しいですよね。でもあれは、喉の渇きや外気温も手伝って美味しく感じるだけなんですね。ほんとはみずみずしいトマトは味が薄くて大味になっているだけなんです。トマトは夏が苦手なんです。

いちごの例では、いちごがたくさん収穫できるのは露地でもなり始める5月から6月だと思います。これが収穫の旬。でも本当に甘くて美味しく、実がパンパンに引き締まってツルツルした果肉の表面で新鮮に見えるのはやはり2月前後の冬なのです。

5月頃のいちごは疲れたいちごさんです

いちご農家側の私が言ってはいけないことなのですが、内緒で少し裏話をしますね。

5月頃のいちごは、かなり疲れたいちごなので、美味しさも見た目もなんか少し物足りないと感じるのです。

ん?どういうこと?と思いますよね。こういうことなんです。

いちご農家では、ビニールハウスで12月頃から収穫をし始めて、だいたい5月から6月初旬ぐらいまでいちごを収穫し続けます。

いちごの苗って一度花が咲いて、それが実になると終わり!という植物ではないんです。

1本の苗で「花が咲いて、それが実になる」を1クールとするとだいたい5クール前後繰り返すんです。1度収穫しても同じ苗に栄養を与え続けると何度も収穫を繰り返すことが出来る訳なんですね。1本の苗でそれぐらいの生産性がなければ逆にいちご農家は採算が合わなくなってしまうのです。

ただ、素人の方が家庭菜園やベランダのプランター栽培でそれをやろうとしても無理なんです。あくまでビニールハウスの中でちゃんと管理されたらの話なので、普通の家庭では、2クール出来たら上出来だと思います。

5月頃に出荷されたいちごは、4クールか5クール目のいちごなので、苗が疲れてきていて、外気温も高くなってきているので、一気に実が大きくなるため、味が大味で、果肉も少し柔らかく新鮮さがないものになってしまうんです。仕方ないのです。

そういった意味でもやはりいちごは冬が旬なのだと言えるのではないでしょうか。

まとめ

ここでは、美味しくいただくための旬の話をさせてもらいました。ただ、これはあくまでも一般論です。

個人の感性や感覚、また誰と食べたか、どこで食べたか、どのように食べたかによって、いちごであれ、トマトであれ美味しさの感じ方が変わってきます。

夏に田舎のおじいちゃんの畑で収穫したばかりのトマトを井戸水で冷やして食べたら、たまらなく美味しかった!という思い出がある人にとっては、トマトの旬は絶対夏でしょう。

ポカポカした陽気の5月、家族で露地栽培のいちご狩りを楽しんだ経験のある子どもにとっては、その楽しさと美味しさを一生忘れられないでしょうから、いちごの旬は5月でしょう。

前項で「野菜や果物の旬は2つある」と言いましたが、実は、本当の旬は、私たち一人一人に1つずつあるのかもしれませんね。

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